« 決意 | main | 人の話を聞く。 »

20.01.09

初スラれ

イタリアに来て9年以上が経つが、昨日、遂に、初めて、スリの被害に遭ってしまった。盗まれたのは携帯。
仕事を終えて、いつものように92番のバスに乗って帰ろうとした際、来たバスが結構混んでいて、うわぁ嫌やなぁ、と思ったのだが、その次に来るバスを待つ気にもなれなかったので、仕方なく一番後ろのドアから乗り込んだ。僕の他にそのドアから乗り込んだ男が一人いたのだが、犯人はこの男で間違いないだろう。僕を中に押し込むような形で強引に乗り込んできて、ドアが閉まった時点ではかなり不自然な形で僕に密着していた。
こういうことを言うのもなんだが、90,91,92,93番のバスの乗客は、まともじゃない人間がかなり多い。焦点が合ってなかったり、昼間っから酒臭かったり、衣服がめちゃくちゃ汚れて臭かったりっていうのが結構多いのだが(そのせいでわざわざこのバスを避けて通勤する人達は多い)、僕を押し込んで乗ってきた男もそれ系だったので、ちょっと離れようと思い、強引に奥に進んだ。人と人との隙間におさまって、とりあえず落ち着いてダウンジャケットのポケットを探ったら、携帯がなくなっていた。その時点でピンと来た僕は、その男を捕まえて、俺の携帯返せ、とも言えたのだが、それをしなかったのは、僕の中である疑惑があったからだ。それは、俺は本当に携帯電話をダウンのポケットに入れていたのか、ということだった。基本、バスに乗る時、僕はこのダウンのポケットに携帯を入れるようにしているのだが、ここの所うっかり何かを忘れることが多い僕は、携帯をポケットに入れたつもりで、職場に置き忘れている可能性を否定しきれなかった。もし実際にそうだとしたら、もちろんここで携帯返せなんて言うのはかなり危険があり、下手したらこっちがボコボコにされてしまう。かといって、遠慮がちに「あなた、僕の携帯盗ってないですよね?」なんて聞けるわけない。
ってなわけで、結局僕がその時点で出来ることは、その男をずっと凝視していることだけだった。顔から察するに、おそらくルーマニア周辺の東欧人だ。その男は次の停留所で降り(これが既におかしい)、思いっきり振り返って僕のことを見、僕がめっちゃ凝視していることに気付くと、そそくさと小走りで走り去っていった。その時点で僕のその男に対する疑いは確信に変わったのだが、当然何かできるわけでもなく、そのままバスのドアは閉まり、発車した。家に着くまでの間、僕はずっと記憶を手繰り寄せ、携帯をどこに置いたのかを思い出そうとしたのだが、全く思い出せず、家に着いてSkypeから携帯に電話してみて、呼び出し音も鳴らずに留守電サービスに繋がった時点で、はい、決定。やられました。今朝職場に来たが、案の定携帯はなかった。
しかし、あまり悔しさは覚えない。イタリアで日本人といえば、泥棒業界からしたら絶好の平和ボケしたカモである。実際、僕の周りで、スリ、置き引き、泥棒、などの被害に遭っていない人間など僕以外で一人しか思い当たらない。しかし、被害を受けた人たちから話を聞くと、盗られ方は実に様々だ。そんな環境の中で、9年間、何もなかった僕は、頑張ったと思う。まあ、盗まれたものがパスポートや滞在許可証であったら、僕はもっとパニックに陥った後、怒り狂うであろう。
そして、盗まれた携帯は結構使い込んであり、むしろ携帯の価値よりもプリペイドとして残っていた20ユーロのほうが価値が高い。そういう意味では、ざまぁみなさい、あんな携帯誰も買い取ってくれねーよ、ってな感じである。
ただ、携帯会社に行って番号復元してもらうのと、新しい携帯を買うお金と手間が惜しい。

posted tomoyuki : 20.01.09 13:40