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30.11.06

石像

 仕事の後、ポジフィルムを収めるようのファイルを買いに行く。この国の文房具の価格の高さにももうだいぶ慣れてきたが、このあたりの物も日本で買い溜めてくるべきであった。

 その帰り、Zeissの二眼を持って本当に久し振りにCimitero Monumentale(記念墓地)に足を運んだ。もう1年以上ここには足を運んでいなかった。興味がなくなったとか、撮り尽くしたというわけではなく、時間やお金や、その他にも色々な理由で来る事が出来ていなかった。今日はこの二眼でカラーを試撮りするために来た。この二眼、モノクロはまあ何とかまともに撮れるのだが、ポジカラーのような後で修正が難しいフィルムで撮るとなると、やや不安がある。
 今日は試しなので、あまり勢いよくパシャパシャ撮ることは控え、1つのフィルム(12枚)だけに絞る。今年の5月にNapoliに行き、Mimmo Jodiceと共に過ごしたせいか、像、特に大理石像に目が惹かれる。
 話がずれるかもしれないが、僕はモデル撮影などの、人物を主役とした写真を撮るのが苦手である。いわゆる、雰囲気作りが一番大切とされる撮影だが、苦手というか、おそらくそのような能力が備わっていない。訓練することでその能力が備わるのかどうか知らないが、あまり欲しいとも思わない。かといって人物撮影がすべて苦手かといったらそうでもないようで、結構良いものが撮れるときもある。まあ、すべて僕の気持ち次第な感じがするが、ファッションモデル相手では良い仕事が出来たことがない。
 で、何故今この話をしているかというと、僕は墓地で気づいたのだが、墓地にある多くの像達はモデルとしては完璧である。まず、動かない。そしてそれ自体には感情がない。感情がないくせに、良い表情をしている。僕が雰囲気を作る必要がなく、彼らが既に十分雰囲気を作ってくれている。記念墓地というのはおそらく、比較的お金や名声のあった家のものが多く納められている。よって、像や墓石といったものも、優秀な墓石屋が造っているのではないだろうか。なかなか傑作が多いと思う。そして、それらの像に時間の経過が加えられる。雨に打たれ、色が変わり、崩れていく。

posted tomoyuki : 30.11.06 10:46