28.03.04

聖書説明会と礼拝

 夏時間に変更したことに、お昼くらいまで気付かなかった。今日は2時に教会に行く予定だったので大急ぎでお風呂に入って出掛ける用意をする。といっても、その教会はうちから自転車で1分くらいで着いてしまうので、そんなに急がなかったのだが(どっちなんだ?)。韓国はイタリアに全部で5つの教会を持っているらしい。人口の3分の1がクリスチャンであるから普通といえば普通である。日本人用の教会は今のところ1つもない。

 2時に教会に着いて待っていると、Yさんが来てついておいでと言われ、そのまま教会の奥に連れていかれる。そこにはオリエンテーションを行うような席が30ほどある部屋があり、礼拝が始まる前の1時間、ここで日本人宣教師による聖書の説明が行われるという。今日は7人ほどの日本人が来た。椅子を丸く並べて待っていると、宣教師の方が来た。といってもザビエル的な格好ではなく、普通にスーツを着ている男性であった。みんなが揃ったところで自己紹介をしあった。僕と宣教師の内村さん以外はみんな女性で緊張した。内村さんは35歳で、奥さんがもともとミラノでオルガンを勉強していて(その奥さんももちろん出席していた)、内村さん自身は去年イタリアに来たばかりである。
 今日の説明はパウロによる「ローマの信徒への手紙」の第2章、「神の正しい裁き」1節から16節まで、思っていたよりも難しくはなく、内村さんが解りやすく説明してくれた。ユダヤ人の偏った考え方を責めて(?)いる。敬虔なクリスチャンであれば、これを読むとなるほどなるほどと頷いて納得するのであろうが、僕は全く無知なもので、読んでいて疑問を感じるところが少なくない。というか、全て神が存在しているという前提のもとで話しているので、神の存在を信じていなければ当然のことだが理解しにくい。しかしそれでも、なるほどなと思わせるような箇所も幾つかあり、単純に勉強になる。
 聖書説明会が終わり、礼拝。最初にみんなで賛美歌を歌うのだが、なんとエレキギターやベースを使っている。想像していたものとあまりにもかけ離れていてショックを受ける。数曲ノリの良い歌を歌って、昨日の熱血神父さんの説教が始まった。同時に、昨日の花嫁さんの日本語通訳をヘッドフォンで聞くのだが、実はあまり日本語が上手ではなく、ほとんど意味がわからなかった。とても一生懸命やってくれているのは痛い程よくわかるのだが、もう少しだけ勉強して欲しい。神父さんは神父さんで、やはり途中から北朝鮮アナウンサー的喋り方になってきてしまって、全く違った宗教の説教に聞こえてしまう。あとで内村さんに聞いたのだが、韓国のクリスチャンはとにかく熱いらしい。宗教にもお国柄が出てきていて面白い。日本はもっと静かな感じだろう。
 長い長い説教が終わったあと、今日洗礼を受ける人の受礼式が行われた。日本人も一人受礼を受けていて、みんなにおめでとうと言われていたが、僕はこの辺の知識も全くないので、よく理解できず。
 そのあとまた数曲賛美歌を歌い、最後にキリストに祈りと感謝を捧げた。これは立ちながら聞くのだが、途中で日本語翻訳をしていた花嫁さんの声が泣き声に変わってきた。鼻を啜りながら一生懸命訳している。それにちょっと面食らっていたら、隣にいたYさんも泣き始めた。正直、かなりびっくりした。敬虔なクリスチャンでは普通なのかもしれないが、正直何に対して泣いているのかがわからなかった。なんで泣いているのですか?なんて訊くことも出来ない(訊いたら親切に教えてくれると思うが)。多分、二人とも家庭がクリスチャンなのだろう、本当に心から神に感謝しているんだな。
 僕は絶対にクリスチャンにはなれないと(できれば宗教に何かを求めることはしたくないし)、今日出席してみてわかったが、それでも結構勉強になることが多いので、知識を高めるためにも、しばらく通ってみようかと思っている。それで見えてくるものもあるだろう。仏教や神道も知らないのだ。キリスト教がどのようなものかだけでも知っておくべきであろう。こういう考え方はクリスチャンの方々からすると失礼なのだろうか。純粋な興味だけなのだ。

27.03.04

結婚式

 午前中、友人である韓国人、テサップ君の結婚式があったので行ってきた。日本では従兄弟の結婚式に一度だけ出席したことがあったが、こちらでは初めてだった。韓国人ということで、やはりカトリックなのだが、テサップ君は特に信仰深い教徒である。式を行ったのはSan Babila近くにある小さな教会で、到着すると既に多くの人達が来ていた。適当に席に座り待っていると、式が始まった。テサップ君、相当緊張している。新婦さんも韓国人で、イタリアに住んでいる韓国人カトリック協会(?)で韓国語を日本語に翻訳する仕事をしている女性らしい(日本人も結構参加している)。毎週日曜日、聖書説明会と礼拝を行っているのだ。テサップ君32歳、奥さん38歳の、結構歳の離れたカップルである。奥さんがウェディングドレスを着て教会に入場してきた時は感動した。メチャクチャ綺麗である。式が進むにつれ、テサップ君は感極まってしまったらしく、涙ぐんでいて、それを見た僕ももらい泣きしてしまいそうになった。

 神父さんも韓国人だったのだが、新郎新婦を目の前にして結婚するにあたっての今後のアドバイスだかなにかを話し始めたのだが(韓国語だったので内容はわからないが、まあそのようなことだろう)、この神父さん、相当熱血神父らしく、暫くすると、そのアドバイスにも熱が入ってきたようで、北朝鮮のニュースキャスターのような喋り方になってきてしまった。それも結構長い。全部で30分近く喋っていたのではないだろうか。意味もわからないので、途中でそれを聞いているのが苦痛になってしまった。前に座っていたYさん(とても可愛いらしい大人の女性です)に聖書を貸してもらってペラペラとめくってみた。それまで聖書なんて読んだことも読もうとしたこともない。その時軽く読んでみても、意味がわからない。内容的には結構面白いと聞いたことがある。
 ようやく神父さんの演説(?)が終わり、賛美歌(?)を唄った。韓国人のカンタンテはやはりブラーヴォである。鳥肌が立った。小さな教会の中に綺麗な歌声が響き渡る。パイプオルガンとヴァイオリンの音色も美しい。こういうのが好きなんです。
 式も無事に終わり、教会の前の広場で写真撮影があったあと、そのまま軽食会になった。並んでいるものはプルコギや春雨サラダ。やはり韓国人である。旨そうな香りが食欲をそそる。しかし、韓国は超年功序列社会であるらしく、なかなか僕の番まで回ってこないので、諦めて先に帰ることにした。Yさんが毎週日曜日に行われる韓国人プロテスタント協会による聖書説明会と礼拝に誘ってくれた。明日の昼間は特にやることもないし、行ってみようか。

23.03.04

calcio

 日曜日に、ローマダービー(ROMA vs LAZIO)があったのだが、試合中、スタジオの外でローマファンとラツィオファンの間で暴動が起き、ロマニスタの若者が一人死亡した。死亡の情報がスタジオ内に伝わったのはちょうど試合の後半が始まるという時で、イタリアサッカー協会の規則により、試合は途中で強制終了となり、結果は0ー0の同点とされた。亡くなったロマニスタはトッティと面識があったらしく、トッティの困惑している様がテレビから伺えた。数年前から、ファンクラブに入っている各々のチームファンの行動は、そのチームの責任下に置かれることになった。ミランファンの行動はACミランに責任がある。去年だか一昨年だかのイギリスでのチャンピオンズ・リーグの決勝戦の際、その試合を見にいくための旅費を得ようと、ミラニスタが銀行強盗を行ったらしく、ACミランの会長ベルルスコーニが代わりに謝っていた。熱くなるのは一向に構わないが、あまりにも行動が単純すぎる。

 今日は昨日とは打って変わって雨である。昨夜、すごい勢いで雷鳴が轟いていた。

22.03.04

直射日光

 最近、ようやく暖かくなってきたと思っていたら、今日の陽射しはイタリアの夏がすぐそこまで来ていることを予感させるものだった。目が充血するほどの強烈な陽射しだ。カラーで写真を撮っているのだが、陽射しが強すぎてコントラストが出ない。黒か白か、まるで白黒写真のようになる。

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21.03.04

残念

 家でのパーティが早朝に終わった。みんなが帰ったあと、少し部屋の整理をし、眠気が覚めてしまっていたので、ネットに繋いでニュースをチェックしていた。いかりや長介氏死去と書いてあるのを見た時、何かの番組の企画か?と思った。僕は8時だよ全員集合を見たことがない。役者としての氏のイメージが強い。享年72歳と書いてあって驚いた。まだまだこれからもっと良い役をやっていくと思っていたのに、意外だった。本当に残念である。

15.03.04

luigi

 写真家のLuigiが日本から1年半ぶりにミラノに上陸。なんと、日曜日にこちらに到着して、火曜日にはもう帰るという。ハードスケジュールだ。久し振りだということで、夕食を一緒に行くことにしたのだが、彼は無類の酒好きなので、レストランに行くというよりは、アペルティフに行って、そのまま飲みに突入ということになった。それは、彼の行きつけだった飲み屋に久し振りに顔を出したいという彼の要望でもあった。夕方、San Babilaで待ち合わせをし、お茶をしてから彼の家に向かう。彼の家に行くのも1年半ぶりだが、あんなに汚かった彼の家が見違えるほど綺麗になっていた。どうやら彼の友人の女性が掃除をしてくれたらしい。とりあえずそこで、彼が日本に持ち帰らなくてはならない荷物をまとめていたのだが、その時になんと現像機とcanonのFTをもらってしまった。現像機自体は日本にあるし、FTは彼が昔ブラジルに行った時に盗まれても良いようにと、中古で安く買ったカメラだということで、くれた。彼自身、今回の旅行にはeos-7とeos-1を持ってきていた。eos-7には70-200mmの手ブレ防止機能付きレンズが付いていて、本当に不思議だったのだが全くブレない。僕が父から譲り受けたミノルタの一眼の調子がものすごく悪かったので、正直このFTはとても助かる。ちょっと重いが、このくらいの重量があった方が固定しやすくて良い。レンズはSIGMAの28mm、問題ない。

10.03.04

平地

 自転車を買ってから、ほとんど毎日それに乗って学校に通っている。大体片道30分ほどかかる。長野だったら30分も自転車に乗れば結構足腰が鍛えられるのだが、ミラノは思っていた以上に平坦な街で、いくらこいでも全く疲れない。それも、僕が買った自転車は結構良い自転車で、とても乗りやすい。イタリアは、さり気なく自転車が有名なのだが、それを身を以て実感している状態である。

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09.03.04

pazza

 今日、友人の家に遊びに行っていたのだが、時計が午後11時を少し過ぎて、さてそろそろ帰ろうかなという時、外から女性の叫び声が聞こえた。叫び声といっても、誰かが襲われている感じではない。何か、誰かと口論しているような感じなのだ。しかし、聞こえるのは同じ女性の声ばかりで、相手の声が聞こえない。窓から外を見てみると、家の前にある駐車場に一台の結構ピカピカな高級車が止まっていて、そこから女性が顔を出して叫んでいる。なんて言っているのか、全て聞き取れたわけではないが、「あんたがこのアパートに入っていったのはわかっているのよ」「この車、あんたのでしょ」などなど、これでもかというくらいの罵倒を所々にちりばめた絶叫といってもいいべき叫び声を張り上げている。一体何があったのだろうか。ちなみに、相手の姿がどこにも見えない。おそらく相手はこの僕がいるアパートの中にいるのだろう。それにしても、こんな時間にこれほどの大声で叫ぶ続けるとは尋常ではない。もう、どう見ても見た目がおかしいおっさんが道端でわけの解らないことを口走っているのはよく見る。しかし、これほどきちんとした車に乗った夫人が周りの目も気にせず(実際周りには、野次馬が10人近くいた)こんなことをしているのは初めて見た。おそらく、普段は普通の人なのだろう。クスリをやっているか、よほど酷い仕打ちを受けたに違いない。彼氏の浮気発見か?

06.03.04

carla

 友達に、carlaというメキシコ人の女の子を紹介してもらった。ファッションを勉強している女の子で、とにかく背が高くて可愛い。そして、こんなに可愛いのに、性格がものすごく良い。家庭が良い環境なんだろうなぁと思う。一緒に日本食を食べ、そのあとPorta Ticineseで一杯飲んだ。計3時間ほど一緒にいたのだが、驚いたのは、その3時間の間に彼女の携帯に届いたメッセージの数である。オーバーではなく、本当に20分に一回メールや電話が届くのだ。まあ、こんなに可愛い子をイタリア人が放っておくわけないとは思うが、それにしてもすごい数だ。吃驚。この子をゲットするのは大変だぞー。

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投稿者 tomo : 18:46 | トラックバック

04.03.04

リオのカーニウ゛ァル

 リオ・デ・ジャネイロにカーニヴァルを見にいっていた友人が帰ってきたので久し振りに会った。その友人がビデオを撮ってきていたのでそれを見ていたが、本当にみなさん野獣である。テンションが半端じゃない。まあ勿論、人生かけるような超大行事なので、ばっちりドラッグを決めて参加する人間もいるだろう。それを考えてもまあ物凄い。物凄いとしか言い様がないが、ブラジル人ってこちらが気持ち良くなるくらい熱いなぁと思う。友人の話では、熱くて一生懸命で親切で、観光客を騙したり、ボッタりはほとんどしないようである。その辺はスペイン人と同じできちんと人間ができている。やはり、熱い人間の中で言ったら、イタリア人が一番最悪な人種だろう。というか、最悪な奴の比率が大きい。
 お土産に、ミサンガと、このカーニヴァル中に合計1000万個も配られたというコンドームを貰った。これは良い記念になるだろう。行きたいなぁ、ブラジル。でもものすごく遠い。イタリアから18時間。日本ーイタリア間が12時間だから、1、5倍か。耐えられないだろうなぁ。アリタリアでは絶対に行きたくない。

03.03.04

全席優先

 横浜の地下鉄が全席優先席になっているらしいが、それが良い取り組みかそうでないかは別にして、意味がないと思う。逆にそれで、勘弁してくれよと思う人が増えるんじゃないだろうか。全席優先というのはおかしいよな。高齢者以上に疲れて足腰ガクガクの人もいるだろうし。欧米のように、わざわざ優先と書いていなくても高齢者を見たら席を譲る元気な若者が多ければ良いのだが、日本って疲れてる人多いからなぁ。それに、席を譲ろうとして「座りますか?」と聞いたらあからさまにムカッとした顔をする老人が少なくないからなぁ。僕もこっちに来てあまりにもそういう老人が多いことがわかったので(日本は知らないが)、最近は席を譲るというよりも、老人が近くに来たら黙って席を立つだけのことが多い。座るかどうかはその老人に任せる(別にいちいちそれをチェックするわけじゃないが)。そのかわり、わざわざ僕の前に立って、あからさまに譲って欲しいオーラを出している元気な老人には意地でも譲らない。そこで甘やかすとつけあがるのは老人も若者も同じであると考えている。友達じゃないんだから、何かお願いする時はそれなりの態度を示さないといかんぞ。別にこっちも土下座しろなんて言っているわけではないし。

01.03.04

鼓童

 夜、teatro dal Vermeでの、鼓童-KODO-のコンサートに行ってきた。おやっと思ったのだが、日本人の客がほとんどいない。目に入っただけでは10人ほどだ。日本人のコンサートというとかなりの日本人イタリア在住者が押し寄せるのだが、今回は何故こんなに少ないのだろうか。
 teatroはそんなに大きくなく、日本でいう市民文化会館ほどのもだ。僕が中学の時に経験した合同音楽会のほうが規模が大きい。僕が座ったのは前から4番目の端の席。そこに座った時点で何かが違うと思ったのだが、このteatroのステージは客席と高さがほとんど変わらない。最前列から20cmほど上がったところにステージがある。本当に近い。

 演奏が始まった。一曲目はほぼ全員の奏者が勢揃いした、挨拶のような感じの明るい曲。全部で5種類ほどの太鼓。それに、横笛や鐘などもある。この時点でかなり鳥肌が立ったのだが、すごかったのはその次の曲で、直径1mほどの平胴太鼓3つによるとにかく打撃の攻撃技。かなり良い身体をした3人のお兄ちゃんたちがとにかく叩きまくる。かなり微妙だが絶妙な時間差で叩かれる平胴太鼓。時々3人の間で動いて太鼓を交換する。相当練習したのであろうが、巧い。全く同じ大きさの平胴太鼓の音だけでこの演奏をしたら、ちょっと退屈するところだろうが、そこに彼等の掛け声が入るだけで全く様子が違ってくる。とにかく周りの外国人はその臨場感に飲み込まれていた。3曲目は締太鼓を8つほど使っての、前の曲とは対照的な静かで神秘的な曲。曲というよりも、音の重なり。この小さな締太鼓1つだけで、こんなにも色々なことができるのだなと感心する。これも伝統楽器なのだろうか。現代楽器と思ってしまうほど、本当にたくさんの種類の音が生み出されていく。基本的には静かな曲だったのだが、途中でものすごい波の上がるところがあり、8人の男がものすごい形相で一心不乱に締太鼓を叩きだした。音はとても高いのだが、5倍以上の大きさのある平銅太鼓にも負けないほどの威圧感があった。トタン屋根に、ものすごい勢いで打ち付ける夕立ちだ。この太鼓、ちょっと欲しい。
 中休憩があって、4曲目。小さめの太鼓と鐘のリズムに合わせて天狗の面を被った4人の男どもが舞う。正直、これはどうなんだろうと思った。踊りやリズム自体はとても良いと思うのだが、問題は照明である。あんな明るいところでこんな踊りをしても、その魅力は半減してしまう。周りを真っ暗にし、舞う4人にばっちりスポットライトを浴びせた方がかっこいいと思うのだが。5曲目も続いて踊り。今度は着物を着た女性一人が、横笛の響きに乗ってゆっくりと舞う。横笛奏者の男性はステージから降り、観客席の周りをゆっくりと歩きながら吹く。後ろから笛の音が聞こえ、それに合わせて舞う女性は美しかったのだが、やはり気になったのは照明と、僕の斜め前にある、控え室に向かう関係者用のエリアだった。常にそこで人がごそごそと動いていて集中できない。そして、間違いなくそのエリアの光がこの神秘的な舞を邪魔している。そこに非常口を知らせる緑と白のライトが重なって、もう最悪。ドアくらい付けておけば良いものを、何故こんなふうに開け放っているのだ。これは多分音にも影響するんじゃないだろうか。この穴は、間違いなく音の響きを悪くする。こういう暗めの照明による演出の時くらい、邪魔な光は消してくれ、と言いたい。
 静かな曲が続いたあと、メインの超大太鼓が登場。ふんどし姿の二人の男性、一人は結構身体が大きくて若いのだが、もう一人、多分この人がメインなのだが、背が低く、とても優しい顔をしたおじさんが出てきた。大丈夫なのかな、と思ったが、それは間違いで、その超大太鼓を叩き始めてからそのおじさんは人が変わった。完全にトランスしている。ものすごい勢いで、自分の身体の何倍もある大太鼓を叩き始める。身体はあっという間に汗でピカピカに光り、そこにオレンジ色のスポットライトが反射して美しい。足下からも照らしているのだろうか、teatroの天井にそのおじさんの影が映っていて、もちろんその影が動く勢いもものすごい。とにかくこの超大太鼓、スケールが今までの太鼓とは全く異なる。音も数倍、響きも数倍。ずっと聴いていると、そのうち脳の一部が麻痺したような不思議な感覚に襲われる。足下が震えるほどの、ものすごい大音量がこれでもかというくらいに襲いかかってくるのだが、不思議なことに、ほぼ無音と言っても良いくらいの静寂が詰まったなんと言うのだろう、一つの感覚がが脳の中にあるのを感じる。その静寂と、暴力と言っても良いくらいの打撃音が頭のある場所で混じり合ってぶつかり合って、自分が変な状態になっていくのがわかる。どう変なのかが説明できないが、とにかく何がなんだかよくわからなくなる。自分が何処にいて、何を聴いているのかが曖昧になってくるのだ。そうなると、きちんと見えているはずのステージにピントが合わなくなってくる。そして、あっと思った瞬間に、音はきれいに消えていた。その代わりに、ものすごい拍車喝采が聞こえてきた。しばらく頭の中はぼーっとしていた。
 リクエスト曲は、一曲目と同じように明るい曲にメインの超大太鼓も加わったもので、頭がきちんと回復していくような感じがする。
 休憩を入れないで、1時間40分ほどの長くはないコンサートだったのだが、ちょっと短過ぎる気もした。2時間あっても全然聴ける。かっこいいわぁ。

 コンサートを見た帰り、duomo近くを自転車で疾走した。時間は12時近くになっていたのだが、この時間になるとこの鋪装された広い道にはほとんど人の影が見えなくなる。掃除のおじさんたちがいるくらいだ。そこを、縦横無尽に走り抜けるのは本当に気持ちが良い。寒いけど。