結局ずっと眠れずにいて、7時半にYがピックアップしに来てくれた。寝惚け眼で車に乗り込む。今日はちょっと雲行きが怪しい。高速に乗る前に適当なbarで朝食をとる。やっぱりクロワッサン旨いなぁ。
高速に乗ってすぐに、小雨が降ってくる。空一面に鱗雲。間違いない、結構降る。待ちわびた雨。しかし、少しの雨ではかえって逆効果になる。大量に降ってくれればドイツに出発するまでは比較的涼しい数日を送ることが出来るのではないだろうか。
1時間ほどでCaprianoというこれまたミラノ郊外の小さな町にあるfollatura職人の工場に着いた。工場と言っても、そこで働いているのは二人だけ。そのうちの一人はまだ19歳の青年だ(Yと二人で中学生くらいかねぇって話してたんだけど、思いっきり外れた)。
Follaturaというのは普通に生活しているだけでは絶対に聞けない言葉で、日本語だと「縮絨」、日本語で聞いても意味不明な言葉である。まあ、簡単に言うとクリーニング屋さんというのかもしれないが、おそらく彼らにそう言ったら思いっきり否定されるだろう。クリーニング屋と言っても、本当にマニアックな世界のクリーニング屋なのだ。
Yが彼らに頼むのは、カシミアの縮絨。僕は全く知らなかったのだが、カシミヤというのは始めっからあんな高そうなマフラーのように柔らかくフワフワしていない。それどころか、結構堅い。素肌に着るのはちょっと無理なくらい堅いのだ。それは、羊の毛の汚れや油脂の付着のためと、糸として加工する時にロウを塗るためである。
Follaturaは、この汚れを洗い落とし、脱水し、乾燥させ、僕たちが目にするようなカシミヤの本来の柔らかさに持っていく場所なのだ。行程的には普通のクリーニング屋さんと変わらないのだが、おそらくど素人の僕にはわからないこだわりがあるのだろう。乾燥させたカシミヤは、ものすごく柔らかくなっている。
この工場にいる間に、雨はどんどん激しくなっていき、やがて雷雨になった。雷雨なんて本当に久し振りだ。気温もぐっと下がってきた。ノースリーブではちょっと肌寒い。
2時間ほど工場で過ごし、再びミラノに戻る。ミラノもやはり大雨だ。車に乗っている間に眠気が限界に達してしまい、Yにまた気を遣わせてしまった。このままlabに戻ってもおそらく何も出来ないので、一度家に帰って軽く寝ることにする。貴重な時間を割かせ、家まで車で送ってもらった。本当に申し訳ないです。
Yと一度別れ、家に着いてすぐにベッドに倒れ込み、5分で夢の中へ。2時間ほど寝る。何かとても心地良い夢を見ていた気がするが、起きてすぐにKenさんから電話が入り、話している間に全部忘れてしまった。
Kenさんと3時半にPortagenova駅前で待ち合わせをしてY labへ向かう。雨は以前降り続いていた。Kenさんは来月頭に日本に引き揚げる。その前にY labを是非見学したいということで、誘っていたのだ。
Labに着いてすぐに自分のi-bookを起動させ、早速写真の整理を始める。Kenさんはその間、Y Parkのニットサンプルを見せてもらっていた。僕が思っていたとおり、KenさんはとてもYニットが似合う。彼自身も何着か気に入ったものがあるようだ。Yに工場の機械やニットの作り方などを丁寧に教えてもらい、感動していた。