やはり昨日の出来事が頭の中に残っていたらしく、その時の夢を見て中途半端な時間に目が覚めてしまった。そのまま気になって眠れなくなってしまう。睡眠合計3時間。今日は全部で140人分の写真撮影があり、朝から夜までぶっ通しでハードになりそうだ。今日こそぐっすり休んでおきたかったのだが。
朝、バイト先に行き、早速Makotoさんがいたので昨日のことのお礼を言い、謝った。しかし、なんだか様子がおかしい。何かに怒っているようなのだ。やはり先に帰ってしまったのは失礼だったかもしれないと思い、また謝り直すと、どうやら原因はそれではないらしく、昨日僕たちと別れた後、何かあったらしい。理由を聞く。
昨日、僕たちと別れた後、Makotoさんはおじいさんが不憫でちょっと酔ってもいたので、ホテルまで一緒について行ってあげることにした。バスの中で、Makotoさんはおじいさんに対し、励ましの言葉をかけ続けたが、おじいさんは全くそれには反応せず、ただ溜息をつくばかりだった。ホテル近くの停留所に着き、さあ別れようというところで、おじいさんが漸く言った言葉は、「Makoto君、ここまで来たんだから仲良く別れようや」だった。Makotoさんは始め全く意味がわからず、それを訊いたところ、「他は持っていって良いから、せめてクレジット・カードだけでも返してくれ」と言われたらしい。それを聞いて、Makotoさんは怒りを通り越して、呆れてしまったらしい。まあ、呆れるだろう。
飲んでいた時、おじいさんの隣に座っていたのがMakotoさんだったので、疑ったらしいのだ。いや、疑ったというよりも、おじいさん的には、盗んだのがMakotoさんであって、返してくれたらどんなに良いだろうと、ある種の希望のようなものを感じたのかもしれない。しかし実際はもちろんそうではない。おじいさんがこういう目にあったのは初めてだったらしく、本当に気が動転してしまったのかもしれないが、今から奢ってもらおうという人間から財布なんて盗むわけないではないか。予備のお金がズボンの中にあるなんて考えもしないし。