今日、午前9時過ぎにYさんの車に乗ってミラノ郊外にあるY Park専属のニット工場に行った。僕がそこに行くのは初めてで、Yさんに話を聞くと、60歳くらいのシニョーラとその息子(息子はあまりやる気がないらしい)で切り盛りしている工場だという。そのシニョーラはとても頑固な人で、Yさんがその職人さんを紹介されていざ編み方の説明などをする時、色々と大変だったらしい。YさんはYさんでこう編んで欲しいいう希望があり、その職人さんは職人さんでずっと昔から培ってきた製法にプライドを持っている。その辺の意見がなかなか合わなかったらしい。その時々で、Yさんの言っていることが正しい時もあれば、全てを職人さんに任せてしまった方が良いものができる場合もあるらしい。しかし、根はとても心の綺麗な人で、二人は今はとても仲が良いという。
1時間ほど走って着いてみると、そのシニョーラが工場の前で出迎えてくれた。自己紹介をし、中に入れてもらう。Yさんとシニョーラが話している間に、工場内を見学させてもらった。工場自体はYさんのlabの4倍ほどの広さで、二人のニット職人にはあまりにも大きなものだった。シニョーラが僕の様子を見にきて、冗談で「あなた、この工場買い取ってくれないかしら。昔はここにも5人の職人がいて賑わっていたんだけど、もうわざわざ手作業でニットを作りたがる人なんていないのよね」と言ってきた。イタリア北部は商業的で、中部・南部のように今でも手作業で何かを作る職人が多くはない、というか、少ない。このような小さな工場は本当に厳しい局面に立たされているのだ。このシニョーラは日曜日も休まずに働いているという。働かなくては食っていけない。

Yさんがシニョーラから頼んでいたものをもらい、また一時間ほどかけてYさんのlabに戻ってきた。戻ってきたのが11時過ぎで、それからY Parkの過去の作品の撮影に入った。実質、僕の初仕事である。ライトなんていうものは持っていなかったので、labの玄関のドアを全開にして光を入れ、手前の床に服を置いて撮影することにした。茶色っぽいタイルの床で、Yさんの服がなぜかとても合う。久し振りにEos-5を手にしたのだが、感覚はほとんど忘れていなかった。Eosで撮り、デジカメでも撮る。全部で30着ほど、昼休みを挿んで計3時間ほどで仕事が終わった。やはり勉強になることが多かった。黒い服がやはり一番難しい。それでものんびりと自分のペースで、Yさんと話しながら撮影できたのは良かった。全部撮り終えてからデジカメで撮った写真をマックに取り込んで見てみる。なかなか良く撮れている。これでフィルムでもきちんと撮れていれば問題ない。今回は平撮りだったのだが、次はもっと立体的に撮ってみようということになり、二人でその方法を考える。
今日Yさんのlabにいる間に、色々な来客が来た。このlabの持ち主であるRinaという夫人、僕が前通っていたデザイン学校でmovieのコースの教授をやっていて、イタリアの映画の助監督や日本の有名人(中田など)を使ったコマーシャルを撮ったりもしているRobertoという男性。そして、ファッションデザイナー兼ジャーナリストなど、色々こなすスーパーウーマンのaさん。次に何か仕事があったら回してくれるという。本当にありがたい。今日だけで結構コネが広がった。
