毎週土曜日のnaviglioメルカート。午前中にちょっと探し物があったので行ってきた。そして、35ユーロで買った。何を買ったのかというと、だいぶ前からずっと欲しい欲しいと思っていた、”自転車”である。何故naviglioのメルカートで買うのか。新品を買うお金がないからだ(それに、新品など買ったら次の日には盗まれている)。naviglioのメルカートには、盗品や捨ててあった自転車がかなりの数売られている。売っているのはどこの国の人間かわからない人達。多分アルバニアとか、そっちの方だと思う。赤くて可愛い自転車があり、40ユーロだと言われたので値切って35ユーロ。試し乗りしてみたのだが、普通に使えるようである。ただ、自転車を立てておくためのスタンドがない。まあ、こっちで乗る限り、スタンドはいらないのだけど。なぜかと言うと、こっちで自転車を停める場合、それがどんなに短時間であっても、絶対に鎖を付けておかなくてはならない。それを怠った人達の自転車が、今こうしてnaviglioにて破格で売られている。かなり太い鎖で、自転車と、電柱などを繋げておくわけである。電柱に寄りかからせてあるので、スタンドがいらないのだ。
盗品を買うことについて、後ろめたさを感じないわけではない。僕も中学の時に自分の自転車を盗まれたことがあって、かなり悔しい思いをしたことがある。しかしそれは僕のミスのせいでもあり、短時間だから良いだろうと、鍵をつけていなかった。盗む人間は悪い。一番悪いのか二番目に悪いのかわからないが、とにかく悪い。しかし、この国においてはそんなことを言っても全く意味が無い。「盗み」が日本とは比較にならないほど定着したこの国では、盗まれる方が注意しなくてはならない。日本では、財布を盗まれちゃったといった場合、盗んだ方がほぼ90%悪いというふうになる(気がする)。しかしこの国では、財布を盗まれちゃったといった場合、盗まれた方の不注意のせいになってしまう(盗まれてしまった後で誰の責任だ、などと言っても遅いわけだが)。全責任が盗まれる方にあるといっても過言ではないと思うが、これは僕が今まで一度も盗まれたことがないからかもしれない。この国では、極端な言い方をすると、盗まれるという前提で行動することが必要なのだ。・地下鉄で財布をすられた人、バッグを前に持ってきて抱き抱えていればまず盗まれない。・町中で、ウォークマンを聴きながら信号待ちをしていて盗まれた人。ウォークマンを聴きながら歩く時は、普段よりもずっと注意していなくてはならない。僕自身のバルセロナでの例で、・背中にチョコレートをかけられ、そのまま近くのファーストフードのトイレに連れ込まれた人。大通りなど、人通りの多い場所で、地図などを広げてはいけない。・ベンチに座っていて気付いたらバッグがなかった人。ベンチに座り、自分の左側にバッグを置き、10秒以上右を向いてはいけない(特にローマ)。・パンツの後ろポケットに財布を入れていて盗まれた人はきちんと海外旅行障害保険の冊子を読んでください。あまりにも被害が多いので、海外旅行用の盗難保険で、保険対象地域から除外されてしまうような町(ローマなんですけど)があるこの国では、「そんなこと言われたら何も出来ないじゃん」などという愚痴は無視される。いきなり拳銃やナイフを突き付けられたりする以外は全て、ちょっとした注意で回避できることなのだ。ただ、そんなことでストレスが溜まっていくのは、5年近くもイタリアに住んでいる僕からしても、理不尽と思ってしまう時もあるが。
とまあ、いつの間にか盗品を買う僕の話題からだいぶ話がずれてしまったが、とりあえず5年間の経験からものを言わせてもらうと、僕が狙われた時、それは大体僕が油断をしていた時である。バルセロナでは普通に浮き足立っていたし、ジェラテリアでバッグを開けられた時は(この時は運良く引っ張られているのに気付いた)バッグを前に持ってきていなかった(この後、むかつきながらもかなり反省した)。また話がずれていっているな・・・。僕自身、ちょっとこれはまずい傾向なんじゃないかなと思っているのだが、正直盗品を買うことについて、僕の良心は何も口を出さない。そして、もし今日買った自転車が盗まれたら、お金がある限り、また盗品を買いにいくだろう(それで自分が盗まれた自転車があったら笑うけど)。安いとはいえ、二台も自転車を買うお金はないんですけど。これについて文句を言われたら、僕は開き直るか黙り込むしかなくなるだろう。自分で盗んでいない分、罪の意識が低いというのは感じる。
こちらに旅行に来る方々、盗む側の人たちは、本当に、僕達が想像できないくらい貧しくて、その日その日の生活がかかっているので、言い方はおかしいが、本当に本気で向かってきます。だから、盗みのテクニックのレベルも本当に高い。なので、こちらとしては過剰に注意するくらいでも足りない。旅行で来る人たちは慣れていないから、相当疲れると思いますが、短期間だけだと思って頑張りましょう。
今書いたものを読み返してみると、これって自分できちんと働いてお金を稼いだことのない人間の意見だなぁと思ってしまう。