朝8時に目覚ましが鳴った。昨日、結局寝付けたのが5時くらいになってしまったので、3時間ほどしか寝ていないことになる。確かに起き上がるのが困難ではあった。窓から外を見ると、限りなく赤に近いオレンジ色の朝日がベランダの木製の柵をこれでもかっていうくらいに照らしつけている。ホッとした。すぐに風呂を沸かし、ゆっくりお湯に浸かって身体を洗った。風呂から出ると、もう空はすっかり青くなっていた。今日も本当に良い天気になりそうだ。小さな紙袋に、ぷよの死骸の入った黄色いプラスチックの家、スプーンとフォーク、そして「ぷよ 3歳」と、平たくなっているところにマジックで書いた墓標代わりの木ベラを入れる。カメラと紙袋を持って家を出て、久し振りに下のBarでクロワッサンとラッテ・マッキアートを飲んだ。今日はここ最近で一番陽射しが強い。しかし空気はまだ多少冷たく、片方のポケットに手を突っ込んで12番のトラムに乗った。20分ほどトラムに揺られ、Cimitero Monumentaleの前の停留所で降りる。Cimitero前にある花屋さんで、小さな向日葵を一輪買った。中に入る。

前回写真を撮りにきたのは午後3時くらいだった。やはり午前中は少し雰囲気が異なる。午前中もやはりお墓参りにくる老人は何人かいて、散歩をしている若者も見えた。陽射しがいくら強くても、やはりそこには午前中的な空気が満ちている。カラスに混じって小鳥が鳴く。正面入り口から入り、そのままずっと奥まで歩いていく。ある程度奥まで行き、周りに誰もいなくなったところで、大きな木の根元に丁度良いスペースを発見した。方向的にも結構陽の当たっている時間は長そうだ。ここに決めた。バッグを近くに置き、スプーンを取り出してちょっと地面を掘ってみる。容易にとはいかないが、なんとか掘れそうな感じだ。怪しまれても面倒なので、周りを気にしつつ、少しずつ掘っていった。掘っていると、途中で石に当たり、ガチンと音がする。しかし、全て小石なので助かった。途中、お墓参りに来た中年女性が僕の近くを通ったが、あまりこちらを気にしている風でもなく、さっさと向こうに行ってしまった。そして、先程入り口付近で見た散歩に来たらしい女の子も近くまで来たが、僕に気付いてかどうか、これもまたすぐに何処かに消えた。10分程掘ったであろうか、やはりスプーンでは無理があったが、なんとかぷよの家がスッポリ入るくらいの穴は空いた。
穴の中に入れる前に、もう一度家の蓋を外してコットンをどけ、ぷよを見た。心無しか、昨日見た時よりも随分小さくなっているような気がする。綺麗だった毛並みもかなり痛んできているようだ。最近温かかったせいか、かるく腐臭もする。全ての動作が終了しただけで、こんなにも早く変わり果ててしまうのだ。
蓋をきちんと閉め直して穴に入れ、土をかけ、軽くならした。できるだけ掘った形跡を残さない様にうまく枯れ葉などを敷き、木ベラの墓標を傍に挿した時点で、「これじゃあせっかく判りにくく埋めても意味ないな」と気付いた。まあでも、墓標がないのも寂しいからと考え直し、買った向日葵も横に挿した。近くの水道から水を持ってきて、少しだけ向日葵にかけてやった。時々お参りに来よう。そう決めた。
ぷよを埋め終えて、また少し墓地内を散歩した。写真も撮った。一度花を手向けるということを経験すると、墓を撮る時の姿勢が変わる。気持ちも変わる。そして、写真も微妙に変わるのだということに気付く。